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白虎は蒼き炎をまとったまま
陽子を睨んだ…
白虎が陽子に襲いかかるっ!
スパーンと首を跳ねられた陽子が煙りのように消えた…
白虎が鯉を見ると
狐姿の陽子が服のえりをくわえて
草むらに逃げ込もうとしていた…
「グガォ~~」
白虎は怒り全身から無数の刃をだし
妖狐と鯉に襲いかかったっ!
もうダメだと陽子は目を閉じる…
しかし、いつまでたっても何もおこらない…
そっと目をあけた陽子の前には
倒れていた鯉が立ち上がり手を広げ
白虎を睨み立ちふさがっていた…
白虎は鯉の前にひれ伏している…
陽子が鯉の前にまわり
顔を見ると鬼気迫る表情をしていた…
「鯉?」
陽子が鯉に話かけたが鯉はピクリとも動かない…
師が鯉のもとにゆっくりと歩いてくると
ポンと背中を押した…
そのまま倒れ込む鯉を
白虎が背中で受け止める…
「陽子…
ありがとう…
鯉はお前を守る為…
命を投げ出し白虎の前に立ちはだかった…
その強き心に白虎は従った…
白虎は鯉を認めたよ…」
陽子はキッと師を睨んだっ!
「なんで鯉を殺そうとしたのっ!」
師は頭をかきながら苦笑いした…
「心を試したんだよ…
死ぬ気になってもらわなければ
白虎は従わないさ…
さあ、帰ろうか…」
陽子は騙したなと師をポカポカと叩いた…
ゴメンと笑う占徳の服はビショビショに濡れていた…
陽子は占徳も鯉が心配で
気が気じゃなかったのかと気づいた…
二人は笑いながら鯉を見ると
白虎は立ち上がり静かに家にむかって歩きはじめた…
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