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………
「まだか?」
「あとちょっとだよ。急かさないで」
今のは僕が言った。
「すまない」
作業着の男はうつむいて言った。
どこかわからない研究室にいる。
所々くすんだ白い壁、白い床。
置かれたテーブルの上には資料が散乱している。
僕は何か小さな黒いものに細かい作業を施している。
黒いのはチップだろうか?
作業を終えると、充実感にひたりながらも作業着の男に言う。
「出来たよ」
「んー。早速実験してみよう」
チップに導線をつなぎ、導線のもう片方を白ネズミの頭からのびた電極につなぐ。
あとはパソコンのエンターを押せば始まる。
作業着の男がエンターに手をかけた。
「じゃあ測定は僕がやるね」
作業着の男と僕はとても仲が良かった気がする。
無言で男がエンターを押す。
白ネズミは僕達の目の前でみるみる茶色にその身体を変えていった。
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