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髪を切りに行ったらたまたま、美容師さんがイケメンだったとかそんなありきたりなシチュエーション、いらない。
「(・・・・・はずでした。)」
失恋して定番の髪を切りに行こうと、ママには睨まれたけどどうせ切るなら高いところで可愛くとはりきった。
「(あっくんすきだって言ってたから伸ばしてたのにこの茶髪―、)」
ごめん、付き合ってる人いるんだ・・・って言われたときのことを思い出してたら、すんごい顔になってたみたい。
「・・・ぶっ、」
店員さんに、ものっすごく汚い笑い方をされた。
(なんか変だな言い回し・・・・・)
「へ?」
「・・・・あ、や、すいません・・・」
入ってきて、全然目もくれないから気にならなかった担当の美容師さんを雑誌から目を離し、鏡越しにちら、と覗けばあら、
「・・・・・あっくんそっくり!」
「・・・はい?」
「や、あの・・・・・」
ダッカールで止めた明るい前髪がぴょこんとはねるくるくるふあふあの髪型はあっくんの黒髪さらさらストレートとはちょっと違うけど、ホクロの位置まで顔のパーツはそっくりで、おもわず大きな声を出してしまっていた。
「(っあ、この子明彦の振った子・・・かも、照れてる、かわいー)
・・・失恋記念、ですか?」
「え?」
「や、髪―・・・・長いのに、勿体ねえなって、」
「えーなんかそれちょっと失礼・・・」
「はは、ごめんなさい、
(かわいいなー、うん、拗ねてる顔もかわいい、)」
笑顔も素敵だ、
(あっくん瓜二つ・・・!)
「また、来て下さい、ね?
(俺がもらっちゃおうかな・・・?)」
「・・・はい!
(絶対きます!)」
「(俺が明彦の兄貴ってことは、まだ内緒にしとこ・・・、)」
(次いつ行こう??はやく髪伸びろー!!!)
(次いつ来るかな?・・・シフト増やそ、)
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