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「ね、ゆーいち、駆け落ちしよっか!」
もう何回目になる?
結婚のお願いをしに行っては断られ、とぼとぼと夜道を歩くかえりみち。
繋いだ指、ぶんぶん振り回される腕をぼんやりと眺めながら今日は月が奇麗だななんて考えていたら言われたその一言に驚いた。
「…はい?!」
だからさー、駆け落ち、!、と怪しく笑うたっちゃんは月に照らされて…
(ああ、ぼくの愛する宇宙一きれいだ…)
「だってゆーいち、何時までたっても決着つかないんだもん、」
もー飽きちゃったよと恋人は、繋いだ指をぱっと離して、二、三歩前にでると、くるりと振り返ってぶすって拗ねた。
「うん、ごめんね、」
「それももー、飽きたっ…」
だからさ、もう宇宙に逃げちゃおうよ、と月を指差して走りだす恋人を慌てて追いかけながらぼくも思った。
(宇宙一美人なきみとなら、どこへだって…どこでだって、上手くやれる気がする、)
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