ど忘れ

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「はい、この問題分かる人」 教卓の前にいる教師が教室を見渡す。 問題自体は簡単だ、だが、もし間違えてたらと考えると、誰も答えようとしない、 教師はそんな空気に対して深いため息をつくと、再び教室中を見渡すと、 「じゃあ、君、答えなさい」 と、俺の方を指差す。 「……はい」 運が悪かった。そう思いながら立ち上がると、 「三十ニページの問二を解きなさい」 と、教師が促す。 「(分かってるっての)」 口の中だけでそう呟くと、答えを……、 あれ? ページが分からなくなった。 唐突にだ。 たっぷり十秒間立ち尽くしていると、痺れを切らした教師が、 「早く答えなさい」 と、催促してくる。 だが、俺もただ立ち尽くしている訳ではない。頭をフル回転させて思い出そうとしているが、 考えれば考えるほど余計に分からなくなって行く、
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