第三章

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  ◆ 怪しい、怪し過ぎる! あの女と出会ってからだ、千ちゃんが変になったのは。 ぼーっとしていたり、ブツブツ何かを言ってたり。 昨日なんか舞羽のこと無視した! 凄くおかしかった。 だから付いて行こうとした。 千ちゃんが一人で行く場所に舞羽も行くって、行きたいって言ったのに。 千が初めて舞羽に怒って出て行ってしまった。 追ってみたら、この始末。 あの女なんかと――。 「千ちゃん、あの女のこと好き……なの?」 言葉に出したら悲しかった。 ずっと舞羽だけを見てくれるんじゃなかったの? ずっとずっと、舞羽のことだけを。 「舞羽は、千ちゃんから見て子供――妹の存在なのかな……」 あの女のせいだ。 あんな女……。 殺してやる。 舞羽の大切な、大好きな人を、どうして。 千ちゃんに嫌われてもいい。 あの女がいなくなるなら。 涙なんか出なかった。
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