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◇
「愛ちゃんのその宝石はガーネットだろう?」
この前行った喫茶店で、同じ香りを吸いながら千は難しい顔をしていた。
「今、予想するだけで四人はいると俺は思ってる」
「他の……力のある宝石を持っている人が、ですか」
千が力強く頷く。
「力は急に突出すると考えていいだろう」
気を抜かないで、と忠告し、彼は席を立った。
驚いて千を見つめる。
「うちの姫様が良い子にしてるから早く帰るよ」
『姫様』を指すのは舞羽なんだろうということは容易に想像出来た。
彼はとても優しい目で。
「今日は俺が払っておくから」
千はそう言い、テーブルに千円札を置いて喫茶店を出て行った。
なんだか寂しい。
テーブルにお金を見てお釣を返さなきゃ、と思うとなんだか嬉しくなった。
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