第三章

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  ◆ 「ただいま」 「……千ちゃん。舞羽は千ちゃんのこと、好きだよ」 舞羽は千を見上げる。 彼は少し顔を歪めて舞羽の頭を撫でて目線の高さを合わせてくれた。 「今日は怒ってごめんな。明日は一緒に何処か行こうか」 千の優しい微笑みに泣きそうになって舞羽は俯いた。 「千ちゃんは……舞羽のこと、どう思ってる?」 「好きだよ」 即答だった。 千の大きな腕が舞羽を包む。 「あの日からずっと、舞羽は大切な存在だ」 千ちゃんの甘い、良い匂いがする。 それだけで安心して、呟いた。 「舞羽ね、千ちゃんの敵になるかもしれない。でも忘れないで、舞羽は千ちゃんのこと世界で一番大好きだから」 「え、舞羽……?」 千ちゃんの腕に力が籠る。 舞羽は唇を噛んで、そこから抜け出した。 「千ちゃん、明日お菓子買ってねっ」 「え…あ……うん」 「キャハっ」
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