第四章

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一、隕石の墜落。 一、ウイルスの感染。 一、能力者の出現。 「楽しめそうだよ……今も、これからも」 クスリと笑った。 それはまるでゲームを楽しむ子供みたいだと、俺はそんなことをふと思った。 「で、虹。調査してくれたんでしょう?」 「あ、すいません。じゃあ報告するっス」 そうして俺は大きな黒い高級そうな椅子に座る彼女に話し掛けた。 「警察は平岡一世を逮捕。責任者火山章子は被害者として警察を任意同行を求められたっス」 全ては作戦通り。 隕石を火山グループに盗ませ、一世をビルに放火させ車で逃走させる。 人を轢いてしまったのが予想外だったが、そのおかげで一世をより早く逮捕させることが出来た。 恐らく彼は今頃喜んでいる筈だ、俺たちの役に立てたと。 「あと、それと高エネルギーウイルスに感染した人物を『柳沢桃花』に確定したっス」 「やっとですか……、ご苦労様です」 「もう、俺だって暇じゃないんスよぉ? 店とかイベントとか新作ゲームも出たからプレイしたいし……。」 くそう、ラスボスの前にいるのに御預けなんてどういうプレイなのか。 あと一週間で同人イベントだから自筆の漫画だって売りたいけど間に合わなさそうだし、最近不景気だし。 色々困ってるんだ! 「しかも高エネルギーとかウイルスとかよく分からないっスし……一体なんなんっス?」 暗い部屋。 ボクはため息を吐くように一息で会長に問う。 「高エネルギーウイルスという名前は僕が付けました。名前の通り、高い力を持つウイルス。先日落ちて来た隕石が二種類のウイルスを運んで来たんですよ。一つは君もそうだけど、何かの石に取り就くもの。二つ目のウイルス高エネルギーウイルスで、何にも感染しないと思われていたにも関わらず彼女はそれに感染した。不幸にも程があるよ!」 高らかに笑いあげる彼女は美しかった。 「だが僕たちにとってはとても素晴らしい。高エネルギーウイルスを使えば僕たち能力者の力は十倍は強くなれる……!」 「何でそんなこと知ってるんスか?」 「僕の知識と想像上のことだけど、確信は持ってるよ」 何だ、想像上のことなのか。 黒い世界で静かな部屋に小さな彼女の笑いが響く。 「でも高エネルギーウイルスはデリケートでね。目覚めていない不安定な力を持つ石が近くにあるとアレルギーを起こすんだ。それが長く続けば……死ぬ」
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