第四章

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  ◇ 「そろそろ退院しても大丈夫そうですね」 そう言い、医者は看護師を連れて病室を出る。 そうか、もう退院出来るのか。 この窓の外へ出ることの出来るのか。 「よう、桃花!」 「聞いたで、退院出来るんやって?」 わたしの頭の奥の奥で、バチッという漏電のような音がした。 そう思った直後、頭痛がわたしを襲う。 「ぅゎ…わぁあぁぁあぁあぁぁぁ!!」 「桃花!」 彗乃はわたしに駆け寄る。 頭が酷く痛い。 直感的に叫んだ。 「来るなぁあぁあぁぁあぁあぁ!!」 思わず頭を両手で押さえ、ベッドに蹲る。 「俺お医者さん呼んで来る! 梨依、桃花を見ててくれ!」 「うんっ」 彗乃は焦ったようにそういうと病室から走り去る。 梨依はズボンのポケットの中に手を入れて呟いた。 「これの……せい?」
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