第四章

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  ◇ 走る、走る、走る。 ナースステーションが何処かが分からない。 立ち止まって息を整えた。 「………くそッ…」 肺が痛い。 息を乱し過ぎてる。 平常心だ、落ち着け俺。 深呼吸をして、俺はまた走り出した。 その時。 からん。 何だろう。 足元を見るとあの赤い石が転がっていた。 震える手でそれを取る。 熱くて赤くて煌煌として綺麗。 「何で……」 何でこんな所に。 そもそも俺のか? 俺から落ちた、のか? 考えても仕方ない、とりあえず拾っておこう。 そう思ってズボンのポケットに突っ込む。 なんだか凄く熱かった。 気を取り直して走り出す。 階下にナースステーションがあったのを思い出して、階段を駆け下りる。 息が苦しい。 「すいません!」 「どうしました?」 若い看護師がにこりと笑う。 「桃花が……柳沢桃花が……来て下さい……」 看護士の顔が少しだけ変わった。 電話をかけながら看護師は俺に問う。 「どうかしたの?」
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