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◇
走る、走る、走る。
ナースステーションが何処かが分からない。
立ち止まって息を整えた。
「………くそッ…」
肺が痛い。
息を乱し過ぎてる。
平常心だ、落ち着け俺。
深呼吸をして、俺はまた走り出した。
その時。
からん。
何だろう。
足元を見るとあの赤い石が転がっていた。
震える手でそれを取る。
熱くて赤くて煌煌として綺麗。
「何で……」
何でこんな所に。
そもそも俺のか?
俺から落ちた、のか?
考えても仕方ない、とりあえず拾っておこう。
そう思ってズボンのポケットに突っ込む。
なんだか凄く熱かった。
気を取り直して走り出す。
階下にナースステーションがあったのを思い出して、階段を駆け下りる。
息が苦しい。
「すいません!」
「どうしました?」
若い看護師がにこりと笑う。
「桃花が……柳沢桃花が……来て下さい……」
看護士の顔が少しだけ変わった。
電話をかけながら看護師は俺に問う。
「どうかしたの?」
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