第四章

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  ◇ 「梨依!」 桃花の病室に駆け込むと、梨依は焦ったように何かから手を離した。 「彗乃……お医者さんは?」 彼女が聞いたほぼ直後に医者が病室に入って来る。 「君たちはもう帰りなさい」 医者の厳しい声音に俺たちは逆らうことが出来ず、病室を去る。 俺たちの間に沈黙が訪れる。 気まずくなったが話題が見つからない。 梨依が話し出す。 「宿題終わった?」 「え? いや、全然。宿題なんて最後にするものだろ?」 「ウチは少しずつやってんで。終わってからゆっくりゲームしたいやん」 「え、通信断ってたのはゲームやってなかったからなのか」 明日から夏休み。 空はムカつくほど青く高い。
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