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◇
「梨依!」
桃花の病室に駆け込むと、梨依は焦ったように何かから手を離した。
「彗乃……お医者さんは?」
彼女が聞いたほぼ直後に医者が病室に入って来る。
「君たちはもう帰りなさい」
医者の厳しい声音に俺たちは逆らうことが出来ず、病室を去る。
俺たちの間に沈黙が訪れる。
気まずくなったが話題が見つからない。
梨依が話し出す。
「宿題終わった?」
「え? いや、全然。宿題なんて最後にするものだろ?」
「ウチは少しずつやってんで。終わってからゆっくりゲームしたいやん」
「え、通信断ってたのはゲームやってなかったからなのか」
明日から夏休み。
空はムカつくほど青く高い。
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