第四章

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俺は席を立ち、梨依の腕を掴んで二歩下がる。 睨み合いと沈黙が続く。 先に沈黙を破ったのは女の子の方だった。 「大丈夫、何もしないわ。仲間かなって声かけただけだから」 彼女はにこり笑う。 先ほどの恐怖はないけど、安心出来ない。 その空気を感じ取ったのか、彼女は頬を膨らませた。 「だから大丈夫だって。あたしだってよく分からないし、能力だって使えないから」 不謹慎かも知れないが……ごっつ可愛え。 ふぅ、と息を吐き、梨依の腕を離す。 に、しても誰だろう。 前に会った子だが名前なんか知らない。 「あたし、前園愛。君たちは?」 あの石はまだ熱い。
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