第四章

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  ◇ 俺は梨依を隣に座らせてさっきの椅子に座った。 小さく深呼吸をして、俺は口を開く。 「愛、さん……」 「愛でいいよ」 彼女の乾いた言葉に少しだけ驚いた。 じゃあ、お言葉に甘えて。 「愛、その"能力者"とその宝石って何か関係があるのか?」 「……分からないけど。あたしと君らの持ってる石には、何か秘密があると思う」 コイツ、今……君らって言ったか? まさか……梨依も石を持ってるのか? 梨依の顔を見たら、俺と同じような表情が俺を見返して来ていた。 俺はポケットに手を突っ込み、それをテーブルの上に放り出す。 からん、と乾いた音がして大きなルビーが転がった。 「……彗乃の、綺麗やな」 梨依は諦めたように笑うと鞄から薄茶色の袋を取り出し、そこから青い石が転がり落ちた。 サファイアだろうか、俺のルビーの一回りは小さい。 「梨依のも綺麗じゃないか」 「そら、おおきに」 俺が持ってる赤の塊とは違い、青色はあるだけで心が落ち着いて来る。 「んで、秘密って何なんよ?」 梨依は未だに警戒したように愛に向き直った。 「ごめん、それも分からない。何かコレで変なことでも起きた?」 「…………!」 愛は桃花のことを知って聞いているのだろうか。 そして何故こんな事を聞きたがるのだろうか。 確かに、コレのせいかと思ったけれど確信があるわけではないし、桃花の具合が偶然悪くなったのかもしれない。 「起きたのね」 愛は小さく、だがハッキリと言った。 俺はルビーを引ったくってズボンのポケットに押し込む。 まだ、それは熱を帯びていた。 「……帰る」 俺はそれだけ言い残して、逃げるようにそこから立ち去る。 梨依が俺を呼んでいるけど、俺は足を止める気にはなれなかった。
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