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一、
次の日、彼は朝刊の一面を飾った。
第一発見者はトラックの運転手。黒いブタ宅急便の運送業の三十代の男。何でも首都高のはじっこ辺りに彼が転がっていたそうだ。
自分の勘が狂うのは珍しい。もうすこし木に引っ掛かるように投げれば良かった。
家族のインタビューはさすがに載っていないが、学校長と級友のお悔やみが記載されている。
ー彼はとても探求心があり、学業にも部活動にも勤しみ、友達関係も非常に良く……ーが学校長。
ー田中君はとても優しい子でした。勉強も頑張っていたし……ーが級友。
自分が殺した奴が田中と云うことを初めてしって少し感慨深かった。
タナカ…?
ああ、隣のクラスの可愛い彼女持ちの田中か。
彼女も可哀想に。
自分の愛する者が突然居なくなってしまっただけでなく、彼になんの関係も、なんの感情も抱いていない男に殺されたのだから。
さぞかしやりきれな思いでいっぱいだろう。
そこは自分も充分同情する。
でもまぁ、仕方ない。
それは彼の運命。
不幸だったのだ。
そうとしか言いようがない。
だって別に誰でもよかったのだから。
殺すのなんか。
別に
誰でもー…
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