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不器用な歩夢なりの気づかい。いつになっても回りくどいマネしかできないでいるパートナーを、ドラゴはため息をついて見やる。
歩夢
「なんだ?」
ドラゴ
「素直にならないといけないのはきみの方かもね」
ムッとしてドラゴを鷲掴みする。
響
「さて、じゃああたしら何してる?」
歩夢
「……掃除するか」
鷲掴みしていたドラゴを解放し、立ち上がる。
奏
「掃除って、ここはゴミ一つ落ちてない公園よ?」
周りを見渡しても、それらしいものは何一つ見当たらない。
ゴミ一つない、綺麗な芝生だ。だが―――
響
「……ねぇ、奏?」
奏
「なに?」
響
「……なんか、空気重くない?」
響に言われ、奏は辺りを見回す。
空は先ほどとは打って変わって暗雲が立ち込めていて、風ざわついている。空気も、心なしかピリピリとしたものが漂っているみたいだ。
歩夢
「……見てるんだろ?隠れてないで出てきたらどうだ!?」
歩夢の一言で、それまでの重苦しさが一気に加速する。
響
「この感じ……まさか!」
歩夢
「言ったろ?掃除だってな……」
その言葉が示すように、メフィストが姿を現す。
メフィスト
「まさか見破られるとはな」
歩夢
「あったりまえだ。そこまでノイズが出てればイヤでも気づく」
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