始まりは雨の日だった

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「まったく、わざわざ田んぼの水の中に吐く奴があるか。」 軽トラの中でじいさんは呆れた様な顔をしていた。 「だって草むらに吐いたらずっと残ってるようなきがしたんだもん。」 少年はミントの飴も一緒に吐いてしまったため、また新しいのを出すと口に放り込んだ。 「だってもヘチマもあるかっ。田んぼの持ち主が見つけちまったら米を食いたく無くなるぞ。せめて早く肥料になるように祈っとけ。」 それからも2人はやんややんやと言い合っていた。 「お、雨が降ってきたぞ。」 じいさんはフロントガラスに当たって弾ける水滴を見てそう言った。 「こりぁ結構しっかり降るかもなぁ。」 じいさんは前方に広がる積乱雲を見て呟いた。 「ほれ着いたぞ。」 そうこうしている間に軽トラは一軒の古めかしい家に到着した。
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