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「雨が強くなってきているから早く荷物を家にいれとけ。」
先程よりも雨粒は大きくなっており、地面も湿ってきている様だった。
少年は軽トラから降りると後ろ荷台へ行き、被せてあったシートを外した。
荷台の中には大きな旅行用の鞄が2つ。
それと野菜やら肉やらが入った袋がいくつかあった。
「早く入れないと濡れちまうぞ。」
じいさんは食材の入った袋をひょいと持ち上げると、先に家の中に入って行った。
「うんしょっと……。」
少年もぎっしり詰まった旅行用の鞄を両手に持つと、少し重い足どりで家の中に入って行くのだった。
季節は7月の半ば過ぎ。
蝉もやっと仕事かと言って鳴き出す頃。
少年は夏休みを利用して約1ヶ月、東京からこの山に囲まれた田舎の母方の実家にやってきたのだった。
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