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一瞬、何が起こったのか分からなかった。突き飛ばされた衝撃で、体のあちこちが痛かった。
その時感じた
生暖かい
手の感触
ぼやけて見える
茶色の髪の毛
目を擦って
ようやく見えた
生暖かい物の
正体
それは、
血だった。
誰の血だなんて
言わなくても
私の足に乗っている
茶色の髪の持ち主
私が知っている
茶色の髪の毛は
1人しか
いなかった
魅音「圭、ちゃん?」
圭一「ハァ・・・ハァ・・・うっ・・・」
圭ちゃんから出ている汗にも負けないぐらい、腹部から流れ出ている大量の
血
息も絶え絶えであった。
魅音「圭ちゃん?!圭ちゃん!しっかりして!圭ちゃん!」
圭一「ハァ・・・み、魅音・・・お、お前に、つ、伝えたい事が・・・うっ!」
もう虫の息だったにも関わらず、圭ちゃんは話し始めた。
魅音「は、話なら後でもできるから、今は、今は喋らないで・・・!」
圭一「ダ、ダメだ、魅音。今じゃ、なきゃ、も、もう伝えられ、ないかも、知れない、から・・・」
魅音「嫌・・・そんな事、今言わないで、お願い・・・」
圭一「魅音、
好き、だ」
それを聞いた魅音の目から涙が止めどなく流れた。
魅音「うぅ・・・圭ちゃん・・・わ、私も圭ちゃんのことが、」
圭一「答えは、ハァ・・・ハァ・・・ま、また会った時に、き、聞かせて、くれ。そ、それまでま、待っててくれ・・・魅音」
魅音「わ、私、い、いつまでも、待っている、から、か、必ず帰って来て。それだけ、約束して・・・」
圭一「か、必ず帰ってくる、から、待ってて、く、れ・・・」
魅音「圭、ちゃん?圭ちゃん?!嫌・・・嫌、だよ。私を、1人にしないで・・・」
いくら声を掛けても、返事は返って来なかった。
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