第一章『決戦前日』

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さっきまで元気だった前原圭一は、元気がなくなっていた。部活メンバーと一緒に戦えることはとても嬉しい。でも、 圭一『・・・なんだろう、この感じ』 圭一は今までにない感覚に犯されていた。 どうしても頭から離れない彼女の事、近くにいるだけで幸せだった。同じ部活をやっていて、少しずつ彼女の事が気になっていた。自分でもよく分からない、この気持ち。 明日の戦いは命懸けの戦いになる。彼女も必然的に危険にさらされる。もしかしたら、ケガではすまないかもしれない。そう考えると胸が張り裂けそうだった。 圭一「はぁー・・・」 圭一は小さくため息を吐いた。するとその時、 梨花「み~、圭一どうかしたのですか?」 梨花ちゃんが話しかけてきた。 圭一「あぁ、梨花ちゃん。今帰るの?」 梨花「そうなのです。沙都子と明日の計画を立てていたのですよ。」 明日の計画、と言う事はトラップである事はすぐに分かった。 梨花「もう遅いですから、一緒に帰ろうなのです。」 圭一「あぁ、そうしようか。」 そして今、2つは古手神社まであと少しという所にいた。 梨花「圭一。1つ聞いておきたいことがあるのです。」 不意に梨花ちゃんが口を開いた。 圭一「ん?何、梨花ちゃん?」 梨花ちゃんは圭一の方に振り返った。 梨花「・・・貴方、魅音の事どう思っているの?」 さっきまでの梨花ちゃんと違い、大人の口調で聞いてきた。しかし、今の圭一にはどうでもよかった。 圭一「え、り、梨花ちゃん、いきなりどうしたの?」 狼狽える圭一を尻目に梨花は話を続けた。 梨花「貴方は迷っている。明日の戦いで魅音が傷ついてしまうのではないか。でも貴方はその思いを伝えられない。明日の戦いが終われば、いつものような関係に戻れる。だから伝える意味はないと。違う?」 図星であった。圭一は何か言おうとした。しかし、梨花がそれを遮った。 梨花「確かに、明日の戦いが終われば、いつものような関係には戻れるわ。でも、魅音はどうなるの?魅音の気持ちをよく考えて。明日の戦いが心配なのは貴方だけじゃない。」 なぜ魅音の名前が出てきたのか、圭一にはよく分からなかった。梨花は最後にこう言った。 梨花「貴方に命をかけて魅音を救う気持ちがあれば、私はそれでいい。命懸けで魅音を助けなさい。」 そう言って梨花は黒い髪をなびかせ石の階段を登って行った。
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