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「差別は駄目だろ」
「まあ、そうかもしんねーけど…」
樹が健一郎に叱咤すると、怒られた犬のように、シュンとする。
「しれないけど、何?他に何か理由でもあるわけ?」
ちょっと強気に言ってみると、更に健一郎へこんだようで、うなだれていた。
滅多に怒らない樹が少し怒っただけで、健一郎はへたれる。なので、それを利用して怒ってみる。
「自分が狙われたら…って考えたらさ、迂闊には近寄れねーだろ」
「…そういうパターンは考えてなかったな」
確かに、同性に言い寄られるというのには、抵抗があるかもしれない。
「でも、こんなにたくさん男子いるんだからさ、好きになられる確率って少ないだろ」
今は男女共学の学校だが、元々は男子校だったらしく、男と女の割合が七対三くらいなのだ。教室もほとんど男子で埋めつくされ、むさ苦しい状態だ。
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