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カン、カン、カン…プシュー 駅の前で、古びた電車が停車し、わらわらと人がホームへ降り立つ。 『ドア、閉まります』 車掌のハスキーな声がホームと車内を駆け巡り、ゴトンと音を立て、ドアが閉まろうとする。 「ちょっと待ったあー!!」 ハァ、ハァと息を切らした少年、椋井樹が、ホームに駆け寄ってくる。 運転手は、少し嫌そうに閉じかかったドアをもう一度開き、樹を受け入れた。 「ふぅ、間に合ったー」 全力で走ったため、身体がほてっている。 冷房の効いた車内でも、暑く感じた。 .
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