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松本が去ったドアを見ながら、先程の話について考えていた。
(…ん?ちょっと待てよ?健一郎が大丈夫で俺は大丈夫じゃない…)
「って俺が女々しいとでも!?」
急に大声を出したためか、教室が一斉に静まり返った。
いたたまれない空気が流れる。
「わりっ…!」
樹がみんなに謝ると、またいつものように笑い声が飛び交った。
一安心した樹は、ふぅっと軽く息をついた。
「何考えてたわけ?」
健一郎が樹に近づいてくる。
「なんか最近男への痴漢が増えているらしい」
「ふうん…それで?」
興味なさそうな反応の健一郎を睨みつけ、
「お前は大丈夫だけど、俺は気をつけろってさ!」
と怒鳴り付けてやった。
健一郎は、ははん、と鼻で笑うと樹の額を指先でピンッと跳ねた。
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