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次の日の朝、樹は、ホームに置いてある椅子に座っていた。
いつもより早めに駅に着いたため、周りにはほとんど人がいない。
健一郎はもう一つ前の駅から乗っているため、当然この駅にはいない。
昨日はあれから健一郎が、購買でパンを奢ってくれたため、樹の怒りはすっかり消え去っていた。
(我ながら単純!それにしても、暇だなー…)
チラチラと携帯の液晶で時間を確認しながら、電車が来るのを待った。
何分かすると、人もちらほら見えるようになり、樹は重い腰を上げ、いつもの定位置に立った。
後ろには、サラリーマン風の20代くらいの若い男も立っていた。
カン、カン、カン…
電車が近付く音がする。
プシュー、という音がしたと同時に、ガタン、とドアが開く。
樹は、電車にゆっくりと乗り込んだ。
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