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「ゆ、柚木さんって…お名前なんですか…?」
どきどきと胸が脈打つ。
「あぁ、そうだ」
「…下のお名前は…?」
まさかそんなわけない、と否定するも、心のどこかで期待している樹がいる。
まさか。
「光」
「…っ!」
目の前の男が、あの恋い焦がれている、柚木光だというのか。
深く被られた帽子の奥で見えなかった瞳は、今、目の前にある。
何度も、何度も、想像した柚木の顔。
想像とは違っていたが、美形には違いない。
樹は無意識の内に、柚木の手を掴んでいた。
「あ、あのっ、好きですっ!」
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