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恐る恐る手の平を広げてみると、小さなメモ用紙みたいなものが、くしゃっとなっていた。
樹は慌てて丁寧にしわを伸ばすと、文字が書いてあるのが分かった。
「090…これ、電話番号じゃん!」
ご丁寧にメールアドレスまで表記されていた。
チラッと裏を見ると、名前と勤務先が書いてあることから、これは名刺であることが分かった。
「やるなぁ、あいつ」
駅員さんが樹の手の中の紙を見て、ボソッとつぶやいた。
「あの…、柚木さんってもしかしてタラシ…なんですか?」
普通自分の名刺の裏に携帯番号やメールアドレスを書いているなんて、相当な遊び人だろう。
駅員さん達はうーん、と首を傾げると、
「そんなこともないな。あいつが遊んでるなんて聞いたことがない」
「あぁ、あいつは見た目はあんなんだが、意外と真面目だからな」
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