1146人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
「柚木さん…」
うっとりしながら、柚木の声に聞き惚れる。
樹は極度の声フェチであり、声に敏感なのであった。
(いつ聞いてもいい声…)
今までたくさんの好みの声に出会ってきたが、柚木に勝るいい声の人はいなかった。
「そんなにいいかぁ?」
健一郎は声に興味はないらしく、柚木の良さを全く分かってくれない。
分かるどころか、他の車掌と区別が付かないみたいだ。
「いいよ!このハスキーなのにあまぁーい感じ…。今まで聞いたことないよ」
柚木の声を思い出して、また喜悦に浸る。
そんな樹を見て、健一郎は冷めた目で、
「変なやつ」
と、一言言い放った。
.
最初のコメントを投稿しよう!