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「柚木さん…」 うっとりしながら、柚木の声に聞き惚れる。 樹は極度の声フェチであり、声に敏感なのであった。 (いつ聞いてもいい声…) 今までたくさんの好みの声に出会ってきたが、柚木に勝るいい声の人はいなかった。 「そんなにいいかぁ?」 健一郎は声に興味はないらしく、柚木の良さを全く分かってくれない。 分かるどころか、他の車掌と区別が付かないみたいだ。 「いいよ!このハスキーなのにあまぁーい感じ…。今まで聞いたことないよ」 柚木の声を思い出して、また喜悦に浸る。 そんな樹を見て、健一郎は冷めた目で、 「変なやつ」 と、一言言い放った。 .
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