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そのまま北原君と何の接点もないまま、終業式の日になった。
春休みに入るとあってか、朝から告白ラッシュが続いている。
私には関係ない!!
…けど、煮干しのお礼だけでも言いたいな…。
「薫~春休みも遊ぼうねっ!!♪」
「うん!!」
「2年も同じクラスになれるかね~」
「選択授業一緒にしたし、きっとなれるよ!!」
「…北原君とも一緒だといいね♪」
心ちゃんが笑顔で言った。
「もう!!だから違うって!!私なんか相手にするわけないじゃんっ」
そう言い返すと、いきなり心ちゃんの表情が変わった。
「…そうやって、自分の事『なんか』って言うの、薫の悪いクセだよ!!
薫は充分可愛いし魅力的なんだからっ!!」
強い口調でそう言われた。
「頑張れ!!!!」
「…しんちゃん…」
心ちゃんには気づいてるんだ。
私が北原君を気になってること。
しかもあんなに真剣に応援してくれて…
本当に私のことを考えてくれてることがわかって嬉しかった。
でも無理だよ…。
好きになんかなっちゃダメだ。
心ちゃんは今日バイトが早番らしく、そのまま学校で別れた。
廊下をトボトボと歩いていると、1年の担任だった今井先生に会った。
「今井先生さようなら~」
「お~安藤!!いいとこにいたっ!!」
「へ?」
「すまんがこれを図書室に返しといてくれんか!?これからすぐに教育委員会の会議でな!!頼む!!」
そう言って私に地学の教材を沢山手渡した。
重……。(汗)
「え~とハの31…ハの31…」
あ~あ、せっかく帰れると思ったのに…ついてないな。
「~なのっ」
ん?
図書室の奥で話し声がした。
誰かまだ居たんだ。
「よしっと」
全て本棚に戻し終えて、図書室を出ようとしたその時
不意に奥の方に目をやってしまった。
「あ……」
そこには、女子に抱きつかれている
北原君がいた!!
ガタッ
カバンを机にぶつけてしまい、物音を出してしまった私は案の定2人に気づかれた。
「安藤!!」
何故か北原君は青ざめてこちらを見つめていた。
「あ…お邪魔してごめんなさいっ!!」
我に帰った私は慌てて図書室を出た。
「おいっ!!待てよ!!」
何故か私は全力疾走していた。
…ズキズキと胸が痛い。
本当に私…
北原君のこと…
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