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「遠足?」
「はいっ5月の26日なんですけど…少し出勤が遅れてしまうかもしれません。」
「いいよいいよ♪せっかくの遠足なんだから、その日休みなよ。」
「いいんですか?」
「OK♪こっちが無理いって沢山シフト入ってもらってるんだから。いつもありがとうね。」
「いえ、とんでもないです!!」
私は春休みから、バイトを続けている。
居酒屋っていうか、小料理屋っていうか…そんな感じ。
家事もあるから週3くらいでって思ってたんだけど、人手が足りないらしく
最近は毎日のように入り浸っている(笑)
ガラガラっ
「いらっしゃいませ~」
「おっ薫ちゃん♪こんばんは」
「いらっしゃいませ!!いつもありがとうございます!!」
毎日お店に出ているから、顔見知りのお客様ができた。
優しくて気前のいいおじさん。
おじさんなのに服装とかがオシャレで話し方が若いんだ。
「ここに来るのだけが楽しみなんだよ~!!」
と嬉しいことを言ってくれる。
いつものカウンターの席に座ったお客様は、ビールとおつまみセットを注文した。
「そういえば…お客さん、薫ちゃん今月の26日お休みだからね。覚えておいて下さい(笑)」
女将さんがそう言った。
「なんだ~残念だなぁ!!若い連中を連れて来ようと思ったのに。」
「申し訳ないですっっ」
「薫ちゃん、その日遠足なんだってよ。マリンパラダイスだっけ?」
「へぇ~遠足かぁ。…ん?誰かもそんな事言ってた気が。…まぁいいか」
おじさんは美味しそうに女将さんが作った料理を食べていた。
早く家に帰らなくて、家族の人は心配しないのかな?
なんて余計な心配をしてしまう程、そのお客様は毎日のように来てくれている。
そして、たまに少し悲しそうな顔をしながらタバコを吸うんだ。
「薫ちゃん、遠足楽しんでね。」
「あ…ありがとうございます!!」
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