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楽しく仕事を終えて、帰宅した。
もう23時前だったのに、家に明かりがついている。
ガチャッ
「ただいま~」
「おかえりなさい。遅くまでご苦労様。」
「ねぇちゃんおかえり~」
「2人とも先に寝てていいって言ってるのに」
お母さんは看護士をしていて朝早いし、ヒデも陸上部の朝練があるのに
2人はいつも私の帰りを待っていてくれる。
申し訳ないと思いつつも、嬉しかったりする。
「母さん、最近家の手伝いできなくてごめんね。」
「なに言ってんの~。母さんこそごめんね。バイトあんまり無理しちゃダメよ。」
お母さんはいつも穏やかな人で、どんなときも私達に暗い顔を見せない。
「無理なんかしてないよ♪楽しくてやってんだからっ。あ、そうだ!!はいコレ♪女将さんにもらったんだ~★」
女将さんからもらった、店で出してる料理の残りをお母さんに渡した。
「あらっいつも申し訳ないわねぇ…今度お礼にうかがわなきゃ。」
「この煮物めちゃうまなんだよ~♪」
「かおる。」
お母さんが真剣な顔をして私を見た。
「あんた、あんまり家計の事心配しなくていいのよ。バイト代は自分の好きなことに使いなさい。」
「お母さん…」
「ショコラは母さんも来てくれて嬉しいんだから、餌代だって大したことないし。ね?」
気づかないうちにお母さんに心配かけてたんだなぁ。
「もうすぐ遠足なんでしょ?たまには服でも買ってオシャレしていきなさい♪」
「そうだよねぇちゃん!!たまには女の子らしい服買えよ。」
2人が笑顔で言った。
なんだか2人の優しさにジーンときてしまった私。
何も言わなくても、知らぬうちに私のこと考えてくれてるんだなぁ…。
「ありがとう…。じゃあお言葉に甘えて、明日服でも見に行こうかなっ」
「ミニスカートはやめとけよ~(笑)」
ヒデがいつものようにおちょくってきたけど、そんな事まで愛しく思った。
お父さん…
私達3人、助け合いながら仲良く生きているよ。
写真のお父さんに、心の中で話しかけた。
やっぱり家族っていいな。
不意に、何故かはわからないけれど
お店の常連のお客様の
寂しそうにタバコを吸う姿を思い出していた。
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