恋の予感

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猫は様態が落ち着くまで、しばらく先生の所で預かってもらえることになった。 早く飼い主探さないと…。 私はお礼を言うのが精一杯で 名前も聞けぬまま、その人と別れた。 「ただいま~」 「おかえり。って何やらかしたんだよ!!姉ちゃん!!」 弟の秀希が血のついた私のブラウスを見て驚いた。 「あ…これか。なんでもないよ。すぐご飯作るから待ってな!!」 私は洗濯しに脱衣場に向かった。 うちの家族は、お母さんと中学生の弟、私の三人家族。 お父さんは私がまだ幼い頃に病気で亡くなっている。 女手ひとつで働きながら育ててくれたお母さんの負担を減らす為に、家事全般は私が担っている。 ガコンっ 回り始めた洗濯機をぼーっと眺める。 そういやあの人、同じ高校だったな…。 制服が同じだった。 すごい大人っぽかったし、上級生かな? 『あんたって可愛いな!!』 カァァ/////// 何思い出して赤面してんの私!! あの人の事を思うと、何故かドキドキして胸の辺りがキュンとなる。 …も…もしや… これがいわゆる… 恋? 「ないない!!ないから~!!何言っちゃってんのわたし~!!(笑)」 「何洗濯機と会話してんだ!?(汗)」 しまった!!ヒデに見られとった!! めちゃくちゃ恥ずかしい(笑) 「血だらけで帰ってくるし、洗濯機と会話してるし、姉ちゃん大丈夫か!?(汗)」 「大丈夫だって~!!さっ夕飯夕飯!!今日のおかずは唐揚げだよ♪」 「え!?唐揚げ!?マジで!?…っしゃー!!」 ……弟が単純なやつでよかった(笑)
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