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   アパートに帰って、ごろりとソファーに寝転がった。  お腹は空いてるけど、死ぬつもりだったから冷蔵庫の中には食料がない。  いっそのこと、このまま何も食べずに……なんて事も考えてしまう。  食べれる身体があって幸せだとは思うけれど。  罰当たりだって思われるのは分かってるけれど。  ソファーに寝転がったまま、テーブルの上に置いた、先程シャインからもらったグレイの紙に手を伸ばす。 “どうしても死にたければこの女を殺せ”  シャインの言葉を思い出した。 “一週間は自ら死ぬ事が出来ない”  そんなわけ、ない。  人の体はもろい。  紙を握り締め、私が次に手を伸ばしたのは机の引き出し。  そこから取り出したのは睡眠薬。  死ぬ事が出来ない、なんてあるワケがない。  私はフタを開けると、手の平に薬を山盛りに出した。  勢いで白い薬の粒が二、三個床に転がる。  私は拾いもせず、手のひらに出したそれを一気に口の中に放り込んだ。
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