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  「……そうよ」  私はシャインをにらみつけた。  詩堂草次――草ちゃんは私の夫だった。  二年前、交通事故で亡くなった――。  草ちゃんの事故は、相手のある事故だった。  横断歩道を渡っていた草ちゃんは、右折してきた車に撥ねられて死んだのだ。  その日は婚姻届を出してから三年後、ようやく式を挙げることが出来て、結婚式の式場の契約をする日だったんだ。  私は式場でいつまでも来ない草ちゃんが来るのをずっと待ってた。  ……でも、  幸せの光に満ちた未来は黒く染められてしまった。  ……たった一本の電話で。  あの日から、夜も眠れなくて。  ……なんであの時、一緒に式場まで行かなかったんだって自分を責めて。  身寄りのない私は、草ちゃんしか居なかったのに、神様はなんで私から草ちゃんを奪ってしまうのかと、人生を恨んで――。  交通事故の相手が憎くて。  でも仕方ないって自分に言い聞かせた。  だけど、草ちゃんのいない生活は、私には無理で。  ……だったら、私も草ちゃんの傍に行きたいって思った。  ……なのに。  なんで私は生きてるんだろう。
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