32人が本棚に入れています
本棚に追加
「……そうよ」
私はシャインをにらみつけた。
詩堂草次――草ちゃんは私の夫だった。
二年前、交通事故で亡くなった――。
草ちゃんの事故は、相手のある事故だった。
横断歩道を渡っていた草ちゃんは、右折してきた車に撥ねられて死んだのだ。
その日は婚姻届を出してから三年後、ようやく式を挙げることが出来て、結婚式の式場の契約をする日だったんだ。
私は式場でいつまでも来ない草ちゃんが来るのをずっと待ってた。
……でも、
幸せの光に満ちた未来は黒く染められてしまった。
……たった一本の電話で。
あの日から、夜も眠れなくて。
……なんであの時、一緒に式場まで行かなかったんだって自分を責めて。
身寄りのない私は、草ちゃんしか居なかったのに、神様はなんで私から草ちゃんを奪ってしまうのかと、人生を恨んで――。
交通事故の相手が憎くて。
でも仕方ないって自分に言い聞かせた。
だけど、草ちゃんのいない生活は、私には無理で。
……だったら、私も草ちゃんの傍に行きたいって思った。
……なのに。
なんで私は生きてるんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!