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シャインの手のひらは私の頭にジャストフィットした。
グッと爪を小さく立てられ、シャインは耳元で――。
「あんた、何してんだよ! 俺の仕事を増やすんじゃねえっ!」
と大声で叫ぶ。
あまりの声の大きさに、耳に衝撃が走った。
……よく分からないけど、迷惑をかけてしまったらしい。
謝った方がいいかなと迷っていると、シャインはパラパラとグレーのノートのようなものをめくり始め、ある1ページで動きを止めた。
そして指でページをなぞり、私を見る。
「あんたの命が尽きるのはまだ先だ。分かったらさっさとこの場所から立ち去れ!」
シャインはまた私の耳元で怒鳴り付けた。
……でも――。はい。分かりました、なんて言うわけがない。
「私、死んだんじゃないの?」
頭に浮かぶ疑問を、頭を掴まれたまま、ジンジンする耳を押さえてシャインに聞いた。
「死んでねぇよ? 俺が堕ちてったあんたの体を受けとめたから」
「なんで?」
「知るか」
「……」
おかしい。死神は命を取るのが仕事じゃないの?
……それに、なんで死なせてくれなかったの?
キュッと唇を結ぶと、シャインは持っていたグレーのノートを閉じた。
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