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太陽がビルの向こうへ落ちていき、カラスが群れをなして飛んでいる。
シャインの声は、耳に全神経を傾けなくても、スッと入ってきた。
「人を殺してもらおうか?」
シャインの表情は仮面をしているため分からない。
ただ熱を持たない言葉にぶるぶると体が震えてきた。
「無、理」
やっとの思いで意思を伝えると、シャインは大きく羽ばたく。
「お前のせいで今さっき死ぬはずだったヤツが死ななかったんだ。どうしても死ぬというならそれぐらいの事はしてもらおうか?」
……いや、だって死ぬはずの人の命が延びたならいい事なんじゃないの?
……私には当てはまらないけど。
それに自分が死にたいから他人を殺すっていうのはおかしい。
私は……人を巻き込むつもりはない。
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