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部屋に残ったのは、レカスとロウ博士だけとなる。
ずっと何かを思考していた様子のレカスが、口を開いた。
「博士……おれ、知ってるよ」
「…なにをじゃ?」
博士は只でさえ丸い瞳を、更にまんまるくさせ、不思議そうにレカスに聞く。
そんな表情も、レカスの次の言葉により、吹き飛んだ。
「……チャコの、本当の正体」
「な…!!」
「隠さなくたって、わかるよ。お父さんから聞いたんだ。本当はあいつ─…」
「レカス!!」
博士は柄にもなく、その小さな体でレカスに掴みかかる。
「言ってはいかん!それだけは…言っては、いかん…!」
空いた方の手を、強く握りしめる。
博士の勢いに、さすがのレカスもたじろぐ。
「なんだよ博士!だってあいつは…」
「やめなさい…」
ロウ博士は、力なく首を振る。
その震えた声から、泣いているのだと、レカスは悟る。
何故、ここまで必死にチャコを守ろうとするのか。
レカスにはわからない。
「わしは…あの子の痛みを知っておる…小さい頃から…ずっと知っておる…」
押し殺した声で、博士は言う。
「……ふん」
レカスは博士の手をほどくと、威張ったような足取りで、その場を立ち去ろうとする。
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