序章 想いを綴る

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拝啓 親愛なるニルレイ・ニルニアー様へ 好きです。あなたが大好きです。  突然でしかも文章という形で想いを打ち明けてしまう私を許してください。 面と向かって言っても、あなたは真面目に取り合ってくれないと思ったからです。きっといつもの冗談ということにしてしまいますから……。 だから私は恋文という形をとりました。 私にとってあなたは恩人であり、尊敬すべき人であり、そして好意を抱く人であり、とてもとても大切な人です。 けどだから私は想いを抱きつつも、あなたに告白することを今まで躊躇っていました。 私とあなたの今の関係を壊してしまうのではないのか、と。今だって私はあなたの側にいられるのに、もしこの想いを吐露してそれが叶うことができなかったら……きっとどんなに仲を取り繕おうとしても、ぎくしゃくしてしまうと思います。 仮に仲が元通りになるとしても、長い時間が必要でしょう。それが本当に、怖い。  ……こんなことを思うあたり面と向かって告白しなかったのも、勇気はなかったからなのかもしれませんね。  けど怖いと思いつつも、時々この恋慕をあなたに告白したくなって我慢できなくなりそうになることがあります。その原因は憧れであったり、焦りであったりと色々ですが、いつもは胸の内で堪えて沈めます。  けど耐えられませんでした。  もう一度はっきりここに記します。  好きです。あなたが好きです。私はあなたとの関係を気が合う幼なじみではなく、互いに想い合う恋人になりたい。 自分があなたを想い、あなたもまた私を想ってくれる関係になりたい。 私を想ってくれますか? 純然たる乙女ルセア・シフォニーより
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