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私の書いた恋文をがくがくと震えた手で持ちながら、愛しのニルことニルレイ・ニルニアーはその中身を読んでいた。
文字を追って上へ下へと移りながらだんだんと表情を青くする。目線がやがて止まった。どうやら読み終わったみたい。
けどその凛々しくかっこいい顔は書面から離れない。明らかに返答するのに困った顔をしてそのままでいた。
ニルの頬に汗がだらだらと流れ落ちる。それはもうだらだら~と。
そんなに感激してくれたんだね、ニル!
もちろんそんなわけない。それが本当だったらどんなにいいのだろうと思いながら、それでも真剣に悩んでくれるニルの顔を見たくないので助け舟を出すことにした。
そんなにむずかいことじゃないよ? ちょっとおどけた態度でニルにこう接するだけで十分。
「“乙女”な僕の想いを受け取ってね?ニ~ル」
強調する乙女って言葉。ニルはすぐにぴんってきて、苦い顔をした。
「お前な~」
そしてお決まりの言葉をどうぞ。
「お前は男だろ!」
「失礼しちゃうな。僕は乙女なのに」
思いっきり笑顔で対応すると、ニルはもっと苦々しそうな顔をする。
このニルの反応、不憫だなって思う判明かわいいなって思うのは変かな?
「……こんなものなんてっ」
私の恋文のピンチ。怒りの矛先としてニルに破られそうになる。昨日夜遅くまで起きて考えたものなのにな……。
「……やっぱり止めた」
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