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「気配を消して忍び寄るなと言うのに!!」
分かっている。
背後に立つルパンではなく、それを許す自分の方が悪い事くらい。
ルパンの気配が感じ取れなかった自分が、一番悪い事くらい。
「まぁまぁ。そうカリカリしなさんなって」
笑いを含む語尾に、ムッとくるが、言い返す前にルパンはソファーに座り、ノートパソコンをいじり始めてしまった。
おそらく、次の仕事の下準備なのだろう。
もう、反論する事はできない。
時期を逃してしまった。
感じるのは、何となく置いて行かれたような、寂しさ…
―――?!寂しさ??!!
否!否!否!!何を考えているのだ??!!
今、この場面で感じているのは、ルパンの態度に対する、怒り、だ!!
断じて、寂しいと感じてなどおらぬ!!
断じて!!!!
…断じて。
―――そのような感情、幼き日に捨ててきている…。
「おー、今度の仕事かぁ?ご苦労なこった」
どれだけ己の思考に没頭していたのだろう。
気づけば、煙草を買いに行っていた次元が戻ってきていた。
そして、何のためらいも無く、ルパンの座るソファーの背もたれに頬杖をつき、ルパンの肩越しに、パソコンを覗き込んでいる。
――肩越し。
またもや、だ。
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