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「どうもお疲れ様でした~」
「ありがとうございました。お疲れ様です」
雑誌の取材(もちろんお笑い)を終え、荷物をまとめる。
「南緒、白石くんが送ってくれよるって。どうする?」
「あ、そーなの?でもいいや、寄りたいとこあるし」
「買い物?」
「微妙に買いたい物達を求めたぶらり旅」
「わかった。ほんじゃ、また明日ね」
「はーいおつかれ~」
携帯をチェックし、帰ったら何を食べようかと考えながら階段を降りる。
「………あ、」
建物を出ると靴紐が片方解け掛かっていた。
「よいしょ……」
しっかり結び直して立ち上がる。
麻衣子こそノルマを達成したものの、ツッコミ兼、麻衣子の濃い目キャラ引立て役の南緒は一切の変装無しでも大体は平気。
それもちょっと虚しいなぁ、なんて思いながら東京の夜空を見上げる。
ビルが多いせいか、それともたまたま今日がそういう天気なのか、強めの風が頬を撫でる。
芸人の仕事に本腰を入れるべく田舎から上京して1年が経とうとしているが、その違いは未だによくわからなかった。
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