彼の住所は雲の上

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「ぶっはっ!」 「うわっぷ!」 霧状になったハイボールが南緒を襲った。 しかし元凶となった当の神崎は、ずぶ濡れの南緒の様子などどうでもいいようで。 「…………、マジで?」 「こんな冗談言ってどうすんすか……」 おしぼりで濡れた箇所を拭きながら顔をしかめる。 誰かに好意を打ち明けられたことなんて、そうベラベラしゃべるものではないことはわかっているが、いろんな意味で相手のスケールが大きすぎて、これ以上黙っているのも限界だった。 オブラートに包んだ言葉でブログに書いたことも、結局は誰も理解していないという結論に行き着き、無駄に自分の孤独感を煽り立てただけだったし。 そして考えた結果、たどり着いたのは神崎だった。 「しかし……へぇ、秋山がお前をね……」 感心してるような、呆れてるような、よくわからないようなリアクションで神崎はダシ巻き玉子を摘む。 「まいには言ったの」 「いやまだ……てか、誰にも」 「なんで俺だよ」 「常識で考えて他にいないじゃないですか」 「まぁ、そりゃそうか」
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