本来の位置付け

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「あっ、南緒ー!」 「うんー?」 「あのね、あたしね、昨日でノルマ達成したけ!」 「……へ?」 テンション高めな麻衣子の声に顔を挙げる。 「昨日来たお客さんでちょうど100人達成!」 「あ、あー……」 目の前に出されたカウンターには確かに"100"の数字。 「ね、一応達成したけど、どう思う?」 「うーん……」 100人。 それは半年前に2人で決めたことだった。 ようやくテレビへの露出が増え、知名度も高くなって来て、アルバイトを辞めるタイミングを探していた。 そこで決めたのは、イーゼルの目立ちキャラである麻衣子が、バイト先のうどん屋で、100人に「イーゼル桃野麻衣子」として声を掛けられたらアルバイトを辞めて芸人一本でいくこと(団体客は1人としてカウント)。 「んー、そーだなぁ……」 「いざなってみると不安も残るんじゃけどね」
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