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そんな様子のメイを前に、苦笑を浮かべる。
「君が後ろに来てたのは知ってたからね。
俺達に出来る事をしていただけだ。
アリッシュも、了承してたんだけど?」
「…え?
そう、なの?」
シェスターの最後のセリフを聞き、途端に勢いが失せる。
まじまじと、アリッシュを見据える少女。
「メイの事信頼してるからね。
サポート、頼んでたし」
柔らかな笑みを持って、平然とアリッシュは言って退ける。
「ぁ…、うん、まぁ…そ、そういう事なら…別に…」
アリッシュのさらりとした自然な言葉に、頬を紅潮させ、もごもごし出すメイ。
「…あのさ、状況分かってる?
そういう甘い雰囲気は、後回しにしてくれないかな…
命かかってるんだけど」
大仰に溜め息を付き、肩を竦めて見せるシェスター。
「わ、分かってるわよ!
アリッシュ、“あれ”やるわ!
一気に終らせる!」
慌てて、唸りにじり寄る敵勢を睨み付ける。
「オッケー。
メイに、こいつらは近付かせない」
狙っているのかいないのか。
アリッシュのセリフは、またもメイの乙女心をくすぐる。
呆けてしまいそうな自身の頭を左右に振り、気持ちを落ち着けると、魔法発動の為の精神集中に入る。
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