超越せし者達

14/19
前へ
/759ページ
次へ
「メイの魔力に当てられたか? これだから『テラー』って奴は…」 「呑気に観察してる場合?  行くよ!」 「言われずとも!」 アリッシュに諌められるも、シェスターは憮然と猛る。 少年2人が得意とするのは、近接戦の様だ。 となれば、前に出るしかない。 数トンの重量はある『ガンダルフ』の勢いを、正面から受け止められる訳がないからだ。 待ち構えるでなく、距離を詰め、方向性を逸らしながら斬り捨てる。 それが、少なくともアリッシュの取れる立ち回り。 「はぁっ!」 異形の、鎌と大剣を同時に表したかの様な形態、サイスブレイドを横薙ぎに振るい、1体の頭部を破砕、右隣に吹き飛ばす。 次いで突進して来た『ガンダルフ』の頭を、切り返したブレイドで地面に叩き付け、更に飛び掛かる別の獣の前足を鎌部で貫き、そのまま叩き斬った。 サイスブレイドの利点は、接触面が広い為、対象の慣性方向をある程度操作出来る事だ。 その反面、1撃のモーションが若干長い。 もっとも、大剣を枯れ枝の様に扱うアリッシュにしてみれば、些細な隙にもならないのだが。 それにしても、それらを行う彼の身体能力は、常軌を逸している。 これも、魔法に寄るものだろうか。
/759ページ

最初のコメントを投稿しよう!

254人が本棚に入れています
本棚に追加