責務と意志

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亜人への理不尽なまでに続いていた迫害は、何もラミラリーダ王国だけに限った事では無かった。 それまでに溜まりに溜まっていた、人間に対する憎悪や憤りが、『シルバニア』の建国を期に爆発したのである。 『シルバニア』に続けとばかりに、蜂起していく世界中の亜人達。 絶対数で遥かに劣る亜人達だが、元々身体能力が高く、そして、亜人全てが魔術の素養を持っていた。 それに対して人間は、魔術の素養を持つ者は全体の約0.1%。 戦力は拮抗し、内乱は苛烈を極めた。 世界情勢が動乱の渦中にある中、ラミラリーダ王国の崩壊は、多くの難民を生んでいた。 『シルバニア』の掲げる政策など、彼らには受け入れられるべくも無い。 それまで迫害していた亜人の蜂起と、『シルバニア』建国に絶望していた民衆達。 その多くを受け入れたのが、国交のあった、このレゼンブルム共和国。 ラミラリーダの難民が、藁にもすがる思いで亡命するのだが、この時、レゼンブルムの利害には気付け無かった。 レゼンブルムの恩赦に感謝し、涙する彼らに突き付けられた現実は、徴兵。 そう…レゼンブルム共和国は、自国防衛の為の戦力を欲したのだ。 それを、難民達は苦渋の果てに受け入れる他無かった。 それから12年。 この盟約は尚も続いている。 世界中の動乱と、共に。
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