責務と意志

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レゼンブルム共和国の外輪部北東に位置する村、イロイ。 その先に広がる広大な森から強襲した『テラー』、『ガンダルフ』の群れを殲滅したアリッシュとメイは、レゼンブルム共和国の首都、エゼタに帰還していた。 「ねぇ、今から行っても授業には間に合わないんじゃない?」 先を急ぐアリッシュの後ろを、メイは早足で追いかける。 「でも、折角シェスターが事後処理に残ってくれたんだよ? 僕らだけでも戻らないと、なんか悪いし」 前線から帰投した人間とは、到底思えない言動。 だが、やせ我慢では無く、アリッシュには明確な余裕が窺える。 メイもアリッシュ同様に、疲れをさほど感じさせない。 それでも、これから学校に向かうのには否定的だ。 人通りも疎らな通学路を、エメラルドグリーンの空から差す陽光に照らされながら、2人は黙々と進んで行く。 石材を加工して作られた、舗装された路地。 その周囲には、石材や煉瓦で形作られた家屋や建築物が、高低差を様々に乱立する。 遠方からはこの街の中心区域である、商業区からの喧騒が響いてくる。 その事から、距離にしてさほど離れていない事が窺い知れた。
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