責務と意志

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「あ、そう言えば」 暫し言葉無く自分達の通う学校に歩を進めていた最中、メイが口を開く。 「ん?」 「たまには帰って来なさいって、お父さんが言ってたよ。 アリッシュは普段真面目なくせに、あんまり連絡取らないんだもん。  どうしてるか気にしてたよ?」 「う…確かに、最近は戻って無かったね」 メイに半身を向けつつ、苦笑を浮かべる。 肩に担いでいる、鞘に納められた長大なバスターソードが揺れる。 その僅かな挙動に、アリッシュの動揺が見て取れた。 「ん…、前から聞こうと思ってたんだけど…」 「な、なに?」 メイの言わんとしている事が分かるのか、明らかに先程より動揺の色が濃くなる。 「アリッシュって、お姉ちゃん達が苦手でしょ?」 図星を刺された様で、少年の笑みが、かなりぎこちないものになる。 「べべ、別に…」 否定の言葉にも力は無い。 「いきなり寮に住むとか言い出すし、なんか、お姉ちゃん達避けてる様な感じだったから…」 アリッシュの隣まで来たメイは、その表情を窺う。 しかし、視線を逸らされた。 「…アーちゃん?」 昔の愛称で呼んでみても、アリッシュは閉口してみせる。
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