責務と意志

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その矛先は、全てアリッシュに向けられている。 今口を開いたのが彼で、メイが男子生徒から人気が高く、国内でも桁外れの魔導師である事…それだけが理由ではなかった。 アリッシュに対しての疑念や猜疑心は、今に始まった事ではない。 これまでさんざん向けられてきた、それらの視線の意味する所。 彼が、魔法を扱うにあたり、先天的に必要な魔術の素養を持たないという点だ。 つまり、アリッシュは“1人では魔法が使えない”。 にも関わらず彼は、国内最強と囁かれる、『スペリオル』の内の1人。 状況に合わせた数多の魔法を、並外れた魔力を持って行使する、メイレイル・セメタリア(メイの本名)。 特異魔法、空間歪曲を自在に使いこなし先陣を切る、シェスター・ウルグ・アイ・ラミラリーダ。 そして、魔術の素養を持たないにも関わらず、2人と一糸乱れぬ連携を行い、驚異的な剣技で圧倒する、アリッシュ・テイカー。 それが彼ら『スペリオル』。 三位一体で戦う彼らは、これまで『テラー』という、数多の脅威を払い除けてきた。 実績が証明している。 アリッシュの類い希なる実力を。
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