超越せし者達

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複数人で取り囲み、獣からの挟撃を避けながらの各個撃破。 全体の統制が成り立っていないにも関わらず、兵達は各々で対応していた。 常人ならば恐怖で身がすくむ所だが、彼らにはそれが無い。 士気の高さも窺えるが、恐らくは経験。 彼らにとっての敵は、これら人外の存在なのだから。 「ぎゃあっ!?」 傭兵の1人が腕に噛み付かれ、喰い千切られた。 「くっそ…っ、何だよこの数は!?」 拮抗し、やや戦況が有利になってきた所で、獣の更なる十数体の増援。 この状況には、さすがに絶望の色が見えてくる。 「アリッシュ!メイ!  奴等を先に叩くぞ!」 先程の金髪の少年が、増大した敵勢力の先頭に向け駆け出す。 「分かった!  メイ、サポート宜しく!」 その呼び掛けに答えたのは、年端もいかぬ少年。 焦げ茶色の頭髪に、パッチリと開かれたオレンジの双眸。 幼さが残る頬や顎の輪郭は女性的で、それでも少年のあどけなさを残す容姿は、こんな状況でなければ母性本能をくすぐるだろう。 小柄で身長も高くないのも、そうした要因に見える。 しかし、彼の握る武器が、その容姿にそぐわない。 その身長よりも長い、鍔や柄、剣身に細工の施された、やや細身のバスターソード。 見た目とは裏腹に、少年は片手で軽々と扱っている。
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