超越せし者達

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アリッシュは少女に声を掛けた直後、即座に駆け出す。 その速度は人の域に無く、混迷の戦場を、器用に最短ルートで駆け抜ける。 走り様、バスターソードを一閃、追い詰められていた兵達に迫っていた、獣の首を薙ぎ払う。 その後を確認もせずに、先陣を切り孤軍奮闘する金髪の少年の元に向かう。 兵達の槍や剣では、硬質の黒毛や筋肉を貫ききれず、なかなか致命傷を与えられないでいた。 それを、横薙ぎで断ち切れる小柄な少年の実力は、他者と比べるべくも無い。 それでも、兵達が獣を抑えられる要因は、超常にしてこの世界の絶大なる力、魔法の存在。 戦場を、炎や電気質が飛び交う。 それを放っているのは、数人の兵士達。 特異な装備は見受けられない。 その手に、エメラルドに閃く粒子が周囲から集まる。 凝縮されたエメラルドの輝きを源として火球を生み出し、目前の獣に撃ち放つ傭兵の1人。 「ガオォウッ!?」 着弾と同時に炎に包まれ怯むが、獣の薄紫の模様が瞬き、炎を欠き消す。 「レジストしただと!?」 魔法作用を中和する敵に、驚きを隠せない。
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